治験の死亡事故は?治験の安全性とリスク(危険性・副作用)や保障制度まとめ


こんにちは、モニコムです。
今回は、ちょっと衝撃的な話題です。

治験モニターの募集サイトって、メリットしかほとんど触れられてないものが多いですよね。「治験はもうかる!?」みたいなタイトルのものが、ネット上には多く見受けられます。

※治験はアルバイトではなくボランティアです。

確かに、治験やモニターのボランティアには、負担軽減費という形で金銭が支払われるケースもあります。そこがアルバイトのように思われやすいところですね。しかし、仕事であれスポーツであれ多少の怪我のリスクがあるように、治験にも若干のリスクもあることは確かです。

こういうと、「治験=危ない!」と極論に走ってしまう方もいるかもしれません。ただ、我々は、脅かすつもりはないし「治験ってやばいんだ…」と思ってもらいたいわけではありません。

むしろ、我々は、治験やモニターについて、積極的に参加して欲しいと思っています。その方が、医療の発展に繋がりますし、あなたを含め健康増進に繋がります。

ただし、それは、メリットもデメリットも正しく理解した上でです。

モニコムは、この辺のリスクをきちんと理解した上で参加して欲しいと思います。いいところだけ話して、デメリットやリスクについて黙っているのは、正直フェアじゃないと思います。

そこで、今回は、過去の治験の死亡事故例や、治験のリスク(副作用有害事象)についてちゃんと話していきたいと思います。

※有害事象・・・薬物との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない, あるいは意図しない徴候,症状,または病気を有害事象という。有害反応(adverse reaction)は、病気の予防、診断、治療に通常用いられる用量で起こる好ましくない反応であり薬物との因果関係があるものを指す。

出典:公共社団法人日本薬学会 薬学用語解説

治験の死亡事故・事故(有害事象)の例はあるのか?

先に言えば、治験による死亡事故は過去にあります。治験は、安全性について相当気を使って運営されますが、事故が起こってしまうことは0ではありません。海外の事例と、国内の事例について解説します。

海外の事例

まず、海外の事例を紹介します。

イギリスでの事例

イギリスでは、2006年に、健康な人を対象とした臨床試験(治験)で、重篤な有害事象が発生しています。幸いにも、死者は出なかったようですが、一時全員が集中治療室に入るほど症状が悪化したようです。

英国で3月半ば、抗体医薬「TG1412」のフェーズ1臨床試験で、投与直後に被験者が次々に倒れ、全員が多臓器不全に陥るという事件があった。なぜか日本の一般メディアではほとんど報道されていないが、英国では大衆紙を含む全メディアが連日トップ扱いで報じてきており、欧米各国では医療界や製薬業界はもちろん、一般社会を揺るがす大事件になっている。

出典:日経メディカル|【ニュース解説】英国「TG1412」臨床試験で何が起きたのか(前編):多くの被験者は回復へ、原因は引き続き調査中

フランスでの事例

フランスでは、2016年に以下のような死亡事故が発生しています。健康なヒトを対象とした試験で死亡事故が出た例として、業界では有名です。治験の死亡事故についての話題では必ず言及されるほど、業界内に影響を及ぼした事故です。

今年初め、新薬の治験で被験者1名が死亡、5名が何らかの神経系合併症を起こすという悲劇的事故がフランスで発生しました。治験を行なったポルトガルの製薬会社バイアル(Bial)が、この事実をプレスリリースで公表しました。

出典:editage Insights|仏で新薬治験事故:1名死亡・5名入院

国内(日本)の事例

これまで海外の事例を取り上げましたが、残念ながら日本国内でも以下のような事例が発生しています。海外の事例については、健康な人を対象とした試験でしたが、今回はガン患者を対象とした試験です。

この事例は、治験薬そのものの危険性よりも、説明が不十分なことを問題視され裁判で争われた事例です。

第1弾として取り上げるのは、安全性と有効性が確認されていない新規抗がん剤の臨床試験(治験)で、説明を受けないまま被験者にされ、副作用に苦しんだ末に45歳で亡くなった女性の遺族が損害賠償を求めた「愛知県がんセンター抗がん剤治験訴訟」。

出典:法と経済のジャーナル

この事例のように、持病(ガンなど)による症状悪化なのか、治験薬による健康悪化なのかが微妙な事例は国内外問わずあるようです。

ただ、日本国内では、健康な人を対象とした死亡事故はこれまで報告されていないようです。

日本国内では、エーザイが開発中のてんかん治療薬の治験に参加した被験者が死亡したというニュースが2019年7月30日に報道されました(出典:エーザイ新薬治験で健康男性死亡 極めてまれ、厚労省が調査)。抗てんかん薬の用法用量を検討するために、健康な成人男性を対象として行われた試験です。

この記事執筆時点では、因果関係については調査中ではあります(2019年7月31日時点)。もしこれが治験薬の副作用による有害事象と認められれば、記録が確認できる中では初の若年健常人を対象とした治験の死亡事例となります。

※ガンの治療薬の治験や、高齢者を対象とした治験では、元々の被験者の死亡リスクが高いので、治験期間中に亡くなることが時々あります。その場合は治験薬と死亡の因果関係があるのかは状況によります。

治験のリスクの種類とリスクの大きさ

これまで事故の事例を紹介しましたが、実際、そのリスクとはどれくらいのものなのでしょうか?リスクの種類と大きさについて解説していきます。

事故の発生率

健康が悪化したとしても、それが持病によるものなのか、治験薬によるものなのかの境目は正直わかりにくい所があります。あくまで参考となりますが、以下のように、健康な成人を対象とした臨床試験においては、重篤な副作用が出たのは0.064%とされています。

2005年以降EUで行われた3100の第一相試験で副作用が重篤と判定されたのは2試験(0.064%)とのことである.

出典:Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文|治験の第一関門で起きた重大な悲劇から何を学ぶべきか?

もちろん、発生してしまうこと自体あってはならないことではありますが、1年間に交通事故で死傷する確率は0.528%(出典:保険見直しオンライン|宝くじに当たるのは? 交通事故に遭うのは? 人生の確率を知ろう)らしいので、それよりは約10分の1ほど小さいようです。

副作用

治験では、薬を投与するので、市販されている薬と同様に、副作用が発生する可能性があります。

副作用とは、「適正な使用目的にしたがって、適正に使用したときに発生する有害な反応」のことです。要するに、薬を飲んだら眠くなったり、喉が乾いたりすることが副作用に含まれます。

副作用は、大なり小なりほぼ全ての医薬品で発生する可能性があります。問題はその大小です。副作用が許容できるもので、医薬品による効能が、副作用に比べて大きい場合は医薬品として採用される可能性があります。

また、副作用については、ヒトに試してもらう前にちゃんとテストします。ヒトで試す前に、その治験薬の元になる候補物質をテストします。動物実験や試験管内での実験(前臨床試験)を行い、生物に対して有害な副作用が発生しないかどうかを確かめます。

この段階で、有効な作用が見られなかったり、有害な副作用が発生したりした候補物質(薬の元になる物質)は、その先の試験に進めません。3000個の候補物質があったら、そのうちの1つしか採用されないのです。

また、その先に進んで、ヒトに試す段階になっても、100個のうち、8個しか実際に薬になれません。もちろん、ヒトで試す場合も、最初はかなりの少量からテストをします。それくらい、厳しく薬の有効性と安全性はテストされているのです。

個人情報漏洩

治験やモニター(臨床試験)に参加するには、個人情報を募集会社や医療機関に預けなければいけません。そのため、「個人情報が流出するのでは?」と心配する方もいらっしゃいます。

個人情報については、治験に関わる会社はほぼ全て個人情報保護のための対策を取っています。もちろん、モニコム(合同会社beyondS)も、セキュリティを導入して個人情報を保護していますし、ホームページに個人情報保護ポリシーを掲載しています。

個人情報が流出すれば大きな問題になる可能性が高いのはどこの会社も理解している分、各社個人情報保護の対策をしています。それだけ、個人情報が容易に流出する可能性は低いと言えます。それでもやはり心配だという方は、治験やモニター参加には個人情報登録が必須なため、参加を考え直した方がいいかもしれません。

治験の副作用で健康被害が起こった場合の補償・賠償

安全性については、かなり気を使って治験は運営されますが、人の体質はぞれぞれ違うので、中にはどうしてもなんらかの副作用が発生してしまうことがあります。

それに対応するために、健康被害救済制度(機構法)が創設されています

この制度に基づき、PMDAという組織が、救済給付業務を行なっています。もともとは市販後の薬の健康被害について創設されたものです。

制度の中には、

  • 医薬品副作用被害救済制度による救済給付
  • 生物由来製品感染等被害救済制度による救済給付

があり、治験薬の副作用による健康被害の場合は、主に医薬品副作用被害救済制度による救済給付が適用されることが多いです。

医薬品副作用被害救済制度が適用されると判断された場合は、医療費・医療手当・障害年金・障害児養育年金・遺族年金・遺族一時金・葬祭料といったお金が、ケースに応じて支払われます。

治験において、どの段階で健康被害が発生したかで、それを補償(賠償)する組織が異なります。慰謝料が発生するかは、状況によるでしょう。

まとめ

今回は、治験のリスクについて説明をしました。

冒頭でもお伝えしましたが、おどかすわけではありません。

むしろ、治験やモニター(臨床試験)には積極的に参加してほしいと思っています。その方が、医療が発展しますし、あなたにとっても健康に関心をもつきっかけになるからです。

我々としては、メリットだけをお話しすることはしません。デメリットもきちんと把握して上で参加してほしいからです。ですから、あえてこのようなネガティブな情報もお伝えすることにしました。

「治験は儲かる!?」という見出しで煽ることは簡単ですが、それは倫理的に問題があります。

説明した通り、治験のリスクは0ではありません。しかし、そのリスク自体は、最大限回避されるように関係各組織が努力しています。その発生自体も、決して多くはありません。

メリット・デメリットを正しく評価した上で、治験やモニターに参加いただけたらと思います。


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