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治験の基礎知識

治験参加の流れ|応募から謝礼受取まで全ステップを解説

2023.06.25 読了時間:約5分

治験に参加してみたいと思っても、「何から始めればいいのかわからない」「途中で辞められるのか不安」「謝礼はいつもらえるのか」といった疑問で足踏みしてしまう人は多い。この記事では、応募の一歩目から謝礼を受け取るその瞬間まで、治験参加の全プロセスを順番に解説する。手順ごとにかかる期間や注意点も添えているので、初めての人でも全体像がつかめるはずだ。

治験参加の全体像——8つのステップ

治験参加は「応募→電話確認→説明会→スクリーニング→参加可否通知→本試験→事後検査→謝礼受取」という8段階で構成される。それぞれを丁寧に追っていこう。

ステップ1:案件を探して応募する

最初の入口は、治験情報サイトや病院の治験情報ページで募集案件を探すことだ。年齢・性別・健康状態・居住エリアといった基本条件が案件ごとに設定されており、自分が該当するかどうかを確認した上で応募フォームを送信する。

応募は完全無料で、この時点での拘束は何もない。案件の詳細を見て「やっぱり合わなそう」と思ったら、フォームを送る前に引き返すだけだ。

ステップ2:電話での本人確認と事前問診

応募後、施設側から電話がかかってくる。平日の午前9時〜午後7時の間が多く、応募から2〜3営業日以内が目安だ。電話では本人確認とともに、参加条件に合うかどうかの簡単な問診が行われる。

「現在服用している薬はありますか?」「過去3ヶ月以内に他の治験に参加しましたか?」といった質問が典型例だ。正直に答えることが基本で、虚偽申告は後の検査で発覚し、不合格・場合によっては謝礼返還の事態になる。

説明会とインフォームドコンセント——最も重要な関門

電話で条件を満たすと判断された場合、次は施設へ出向いて説明会を受ける。ここで行われる「インフォームドコンセント(説明と同意)」が、治験参加において最も重要な手続きだ。

説明会で伝えられる内容

医師と治験コーディネーター(CRC)が同席し、以下の内容を文書と口頭で説明する。

  • 治験の目的と試験期間
  • 被験薬の特徴・予測される効果と副作用
  • 参加中の行動制限(食事・飲酒・他の薬の服用等)
  • 参加しない場合の代替治療(患者対象の場合)
  • いつでも辞退できる権利とその手続き
  • 個人情報の取り扱いと守秘義務

GCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)第50条は、文書による同意取得を義務として定めている。疑問は何でも聞いていい。「この副作用が出たらどうなりますか」「途中でやめたいと思ったときは?」といった質問に、担当者は誠実に答える義務がある。

同意書へのサインとその意味

説明に納得した場合、同意書にサインして提出する。このサインは「自由意思に基づいて参加を希望する」という意思表示であり、「絶対に最後まで参加しなければならない」という契約ではない。GCPの規定により、参加者はいつでも理由なく辞退でき、辞退したことで医療上の不利益を受けることもない。

ただし、辞退した場合は謝礼が参加実績に応じた按分支払いになる場合がある(施設によって異なる)。また、辞退後に同一施設への再応募に一定のインターバルが必要になることもある。

スクリーニング検査——ここで落ちることもある

同意書サインの後、または説明会と同日に実施されるのがスクリーニング検査(事前健康診断)だ。被験者として医学的に適格かどうかを確認するために行われる。

スクリーニング検査の内容

  • 血液検査(肝機能・腎機能・血算・血糖値・脂質等)
  • 尿検査
  • 心電図(12誘導)
  • 身長・体重・BMI測定
  • 血圧・脈拍測定
  • 既往歴・アレルギー歴の問診
  • 飲酒・喫煙習慣の確認

検査自体は1〜2時間で終わる。採血後はその場で少し待機し、問題なければ帰宅できる。結果は1週間〜2週間後に電話や郵便で通知されることが多い。

スクリーニング不合格になるケース

正直なところ、スクリーニングで不合格になる人は少なくない。「健康自覚はあるが、検査値がわずかに基準外」というケースが最多だ。たとえば、BMIが規定範囲をわずかに外れていた、肝機能値(AST/ALT)が基準値を超えていた、という理由で不合格になる。

スクリーニングに落ちること自体は治験参加の問題ではなく、その試験の条件に合わなかっただけだ。別の案件に応募することは問題ない。

本試験の実施——日帰り型と入院型

スクリーニングを通過すると、いよいよ本試験が始まる。治験の種類によって日帰り型と入院型に分かれる。

日帰り型(通院型)の特徴

1回の来院が数時間程度で完結する。複数回来院が必要な場合でも、それぞれの来院は「午前中に投薬・採血→午後に帰宅」というパターンが多い。薬の効果を長期間追う試験では、週1回・月1回の来院を数ヶ月継続するケースもある。

入院型の特徴

健常者向けの第I相試験では入院型が多い。2泊3日〜4泊5日が典型的な期間で、施設内での生活は食事・採血・バイタル測定が規則正しく行われる。行動範囲は施設内に限られるが、自由時間は意外に多い。詳しくは別記事「入院型治験の1日スケジュール」を参照してほしい。

なお、健常者が参加できる治験は主に第I相試験だ。第II相・第III相試験は対象疾患を持つ患者が主体となる。

事後検査と終了手続き

本試験終了後も、数週間後に「事後観察」の来院が設けられる場合がある。薬の影響が体内に残っていないかを確認するための追跡検査だ。日帰り型と同様の検査(採血・尿・心電図等)が行われ、問題がなければ正式に試験終了となる。

事後検査の注意点

事後検査は参加者にとっても重要な意味を持つ。万が一体に異変があった場合に、ここで発見できるからだ。軽い副作用(発疹・頭痛等)が遅れて出ることもあり、該当する場合はスタッフへ速やかに報告する必要がある。副作用が起きた場合の医療費は施設側が負担する。

謝礼の受取——仕組みと実際の金額感

治験参加の謝礼は「負担軽減費」「謝礼金」「協力費」などと呼ばれ、法的には「交通費・時間的拘束への補填」という位置づけだ。医療費とは別に支払われる。

謝礼の受取タイミングと金額目安

  • 日帰り通院1回:3,000〜3万円程度
  • 入院型(4泊5日):5万〜15万円程度
  • 複数期間(3泊×2回等):15万〜30万円程度

受取方法は施設によって異なる。試験終了日に現金で手渡しされることもあれば、後日の銀行振込となる場合は2〜4週間かかる。振込の場合は終了時に「いつ頃振り込まれますか?」と確認しておくと安心だ。

スクリーニングのみで終わった場合

スクリーニングを受けて不合格になった場合でも、交通費相当の少額謝礼(3,000〜5,000円程度)が支払われるケースがある。事前に施設に確認しておくといいだろう。

参加前に知っておくべき3つのルール

全体の流れを理解したところで、参加前に押さえておきたいルールを整理する。

washout期間:次の参加まで3〜4ヶ月

一つの試験が終わったら、次の治験参加まで一定の休薬期間(washout期間)を置く必要がある。同一施設では3〜4ヶ月、場合によっては6ヶ月以上の制限がある。複数施設を掛け持ちしようとしても、スクリーニング検査の血液検査で前回試験の薬物が検出されれば不合格になる。

参加可能条件の基本

健常者向け試験の場合、一般的な参加条件は以下のとおりだ。

  • 年齢: 20〜45歳(案件によって異なる)
  • BMI: 18.5〜25.0程度(試験によって異なる)
  • 血液・尿・心電図が正常範囲内
  • 現在市販薬・サプリメントを服用していない
  • 過去3〜4ヶ月間に他の治験に参加していない
  • 妊娠・授乳中でない(女性の場合)

プロトコル遵守の重要性

試験中は施設から指定された生活ルール(食事制限・飲酒禁止・特定の運動禁止等)を守らなければならない。これを「プロトコル(治験実施計画書)」と呼ぶ。プロトコル違反が発覚した場合、試験途中でも参加資格を失うことがある。謝礼への影響については施設ごとに異なるため、事前に確認しておこう。

まとめ——治験参加のトータル期間は最短1ヶ月

応募から謝礼受取までのトータル期間は、案件によって差がある。スクリーニングから本試験まで1〜2週間、本試験から謝礼受取まで1〜4週間かかるとすると、早い案件なら応募から1ヶ月以内に完結する。長い試験では3〜6ヶ月に及ぶものもある。

治験参加のプロセスは複雑に見えて、実際には一つひとつのステップはシンプルだ。スクリーニングで不合格になることも珍しくなく、最初の1回ですぐ参加できないケースもある。それでも諦めずに別の案件に応募し続けることで、自分に合った試験が見つかることが多い。

モニコムに掲載されている案件では、参加条件・スケジュール・謝礼額を事前に確認できる。まずは自分の条件に近い案件から探してみよう。

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